ブランドって何だぁ？

先日、このブログでCGM （コンシューマー・ジェネレーテッド・メディア）について触れましたが、ここではちょっとCGC（コンシューマー・ジェネレーテッド・コンテンツ）について、まずはご説明したい。

こちらはCGCの代表作で、YOUTUBEを一気に有名にし、なおかつ一世を風靡したものです。ダイエット・コークにメントスを入れるとどうなるか、から始まってどんどんエスカレートしています。

ここまで来るともう傑作です。３分間と、ちょっと長尺ですが、見ごたえは十分にあります。まずは、ご覧ください。

爆笑ものですよね。要はCGCとは、一般消費者が作るコンテンツのこと。こちらのサイト でいくつかの別バージョンも見れます。そしてこれが強力なバイラル機能となるわけなんですよ。バイラルとはつまり口コミのこと。インターネット上でこの手のビデオがものすごい勢いで拡散していくんです。世界中に。

そんなところに目をつけたのが、本題のストライド・ガム というキャデバリー社のガムのブランド。アメリカではダントツのシェアを誇るWrigley's（リグリーズ）へのチャレンジャー的ポジションにあるこのブランドは、従来型の広告活動では自社ブランドの差別化もシェアの拡大も難しいと判断し、実に勇気のあるプロモーション活動を展開したのです。

こちらのクリップをご覧ください。

このマットなる人物、世界中を渡り歩きながら、Where the hell is Matt? （マットは今いったいどこにいるんだ？）という個人ブログにYOUTUBEでアップし続けたこの奇妙な踊りをどんどん公開し、一躍有名人となりました。こいつ、どっかの大金持ちのボンボンかぁ？と思われるかもしれませんが、彼は２８歳の平凡な無職の青年なのです。

そう、ストライド・ガムがスポンサーを買って出たんですね。でも、ブランド名も商品もビデオには出ていません。ましてやガムを食べている風でもありません。では何故金を出したのか。

ストライド・ガムのタグラインは「とんでもなく長持ちするガム」なのです。世界中をとんでもなく長いことかけて渡り歩くマットを見せることでストライド・ガムを第一想起のガムに仕立てようと考えたわけではありません。いや、もちろんそれもありますが、一番の狙いはYOUTUBEの彼のクリップが見れるページの右側にあるそのクリップの説明書きへの露出だったんです（マットのYOUTUBE ）。

そんなバカな、と思われるかもしれません。けれどもこのマットの奇妙な踊りのクリップに本当に興味を持てば、消費者はマットと彼の世界旅行に関して更に詳しい情報を探すはずです。そしてそこで初めてブランドとのコネクションが生まれるのです。

賢くなってしまった消費者、特にコア・ターゲットである若者に対してテレビや雑誌広告を無尽蔵に浴びせかけても競合のリグリーズには簡単に追いつけません。広告費の無駄遣いでしかないのです。

（蛇足ですが、日本では全国紙新聞１５段＝１ページと思ってください、の広告費は、２，０００万円ぐらい。１回の広告費ですよ！世界数十カ国のマットの旅費とどっちが高いと思いますか？ちなみにマットのブログによると日本ではカプセルホテルで寝泊りをしていたようですね。）

それよりも、時間をかけて、ターゲットの方からブランドとなんらかのコネクションを持ってもらえるような仕組みづくり、マーケティング活動を行った方がよっぽど効果があるのです。いわゆる愛着をそこはかとなく感じてもらうことがブランドにとっては大変大切なんですね。今後もどんどんこの手の手法が主流になっていくと思われます。タレント広告に命を賭けているおバカなメーカー担当者やメデイア収入命のダメダメ広告代理店が目覚めるときが来れば、の話ですが。（けんか売ってないっす。はい。）

ということで、ガムのタグラインよろしく、とんでもなく気長なプロモーション活動を展開したストライド・ガムに個人的に拍手を贈りたい。なかなか大手企業に勤める一般のマーケッターには踏み切れない領域なのです。

ちなみに、どうもマットは次の世界旅行の旅支度を始めたようですね。