ブランドのトレードマーク
以前、Absolutを探せ! というウェブで、隠された82個のアブソルートのボトルを見つけるゲームをご紹介しましたが、このアブソルートというブランドはここ数年間徹底してこのボトルの輪郭と「Absolut ○○○」というキャッチ・コピーをトレード・マーク にした広告活動を展開しています。下記はその最近のものです。「アブソルート イスタンブール」と「アブソルート ベニス」。
広告とはつまり、売り、を作るための行為なのですが、一方で中・長期的に、ターゲットあるいは潜在ターゲットの記憶の中にブランドを刷り込んでいくことも重要な役割だったりもするのです。
そういう意味で、このシンプルな構造の広告キャンペーンは非常に優れているわけですが、得てしてシンプルであるが故に人々のイマジネーションを駆り立て、しまいには偽物やパロディが数多く出回りだします。大抵の場合は、笑い、につながるようなものばかりで、アブソルートのようなアルコールのブランドにとっては、エンターテインメント的なものであればブランドを傷つけることはほとんどありません。逆に愛情すら感じられたりもします。
ちなみに英語のAbsolute(注:ブランド名は最後の 'e' がありません)とは完全無欠とか、純粋とか、絶対的な、といった意味です。
"Absolut Relief" = 完全なる開放感(意訳)
"Absolut Mess" = とんでもない散らかし(意訳)
"Absolut NY"
一方で、そのブランドが象徴しているものを逆手にとって表現される場合もあり、こちらの方は下手をするとブランドに大きな痛手を被ります。公共広告やなんかの運動のためのゲリラ広告によく見られる手です。
"Absolute End" = 完全なる最後
"Absolute on Ice" = 安全なる氷づけ(意訳)
コピーにはこう書かれてあります。「50%近くの死亡事故はアルコールと関係しています。北米の10%がアルコール依存症です。そして10代の若者が成人するまでに見る酒の広告の数は10万にも及びます」
下の2つはルーマニアのものです。目的は上記と同じです。
"Absolute Tragedy" = まったくの悲劇(意訳)
"Absolute Stupidity" = まったくの愚行
上の4つの広告、気をつけてみれば分かるのですが、"Absolute"なんですね。つまり 'e' が付いています。これで著作権をかいくぐっているんですね。
このように広告を通してのブランド育成はなかなか難しいんですね。変に流行ったりしちゃうとそれだけ色あせるのが早くなる場合もありますし、定着するとアブソルートのように善からぬアイコンとして使われちゃったりする可能性も出てきます。
ちなみに、アブソルートが上記の広告やパロディに抗議したという話は聞いたことがありません。そんな大人気ないことをしたらすぐに消費者にそっぽを向かれることを知っているのでしょう。どんなときにおいてもフェアでオープンであることもブランドを育てる上で重要なんです。
出所:CoolzOr
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